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​ストーリー

時は凡そ3077年頃。
​メタファリカの思想がぼんやりと姿を現し始めたころに起きた話
メタ・ファルスで生まれた純血種は僅か33人。その中の2人に起きた出来事である。


彼女はメタファリカを異常に崇拝する者達によって生み出された(3068年)。
名は【姫代珈・セレスティニーア・マルタ】
​生まれてからずっと研究室から出ずに暮らしていた。
周りのだれもが口を揃えて
「あなたは未来を創るために生まれてきたのだ」
と言ってたくさんの勉強をさせられていた。

同じく彼女もメタファリカを崇拝する者の手によって作られた。
名は【零麗・セレスティニーア・マルタ】
上記の者と同じポッドから生まれた為、姫代珈を姉のように慕っている
生れる前から生まれてからも二人は一緒だった。
人があまり好きじゃない為、いつも姉にくっついて行動していた。

二人が10になった時、研究者たちが大陸を紡ぐ詩を編み出した。
【メタファリカ】というものだ。
※現代の【メタファリカ】と大変良く似た作りをしているが
多少異なることが判明
詠唱者は姫代珈だった。
彼女はこのために頑張ってきたんだと喜んでいた。
そして、その詩に不具合が起きないよう見守るための詩
【デバッカー】を妹の零麗が担当することになった。

順序的には
・姫代珈の力を補うため、【ソルフェージュ】を謳う

・零麗が【デバッカー】を謳い態勢を整える。

・【メタファリカ】を謳う

という流れだ。


2人に詩がインストールされ、次第に準備が整いつつある時、
零麗が偶然にも居合わせた研究者達の話を聞いてしまった。


「どうするんですか、このままだとあの子らが死んでしまいますよ!
動力過多で死ぬ可能性があるなんてあの時言わなかったじゃないですか。」

「べつにいいだろ、研究対象でしかないんだ。本番はこれの後さ。
まぁ、これで成功すれば我々が膨大な力を手に入れることになるし、
ムダ金叩かなくていいんだからいいじゃないか。」

「どうしてもっと早く言わなかったんですか。」

「所詮道具だ。使い込んで捨てるだけさ。」

​「そんな…」

零麗はその場から逃げるように立ち去った。
その後、零麗は姉に話した

「お姉ちゃん、あんな詩絶対謳っちゃダメ。私と一緒に逃げよう。」

「急にどうしたの?あんなに素敵なものが詰まってたのに…あ!わかった!
もしかして緊張して怖くなったんでしょ?大丈夫だよ私が着いてるから!」

​「ねぇ零麗。たくさんたくさん本を読んだから私知ってるのよ!
どんなお話でもみんな幸せになれるってこと!とっても素敵だと思わない?」

「でも、お姉ちゃん…」

「大丈夫!何かあったら絶対守ってあげる!
だから私に何かあったら頼んだよ」


自信満々に笑う姉を見て、妹はきっと大丈夫だと思ってしまったのだろう。
当日【ソルフェージュ】と【デバッカー】が謳われ順調と思われたが、最悪の事態が起きた。
【メタファリカ】を謳い続ける姫代珈とサポートをする零麗とのバランスが崩れ、
全ての動力が姫代珈に流れてしまったのだ。

「...大丈夫、泣かないで大丈夫だよ」

その声と共に詩はブツリと気味悪く途切れ、動力を浴び続けた身体は水の泡となり
​零麗の隣から姿を消した。


 
ほんの一瞬の出来事で、零麗には理解できなかった。
​共に育ってきた姉が目の前で消えてしまった。

零麗は絶句した。

あの時止めていれば、あの時無理やりでも逃げていれば
​何度も考えたがもう遅かった。
その後のことは、もう何も考えていなかったらしい
研究者達に捕えられ、監禁され、ただ時が過ぎていった。
あまりのショックに声すら出なくなって、詩の想いもわからなくなっていた。

月日は流れ、ドアを開けた研究者が
「外に出なさい」と言った。
腕を縛られ、研究者達に連れられ向かったのは【あの時の場所】だった。
だが、そこには沢山の人たちが彼女に罵声を浴びせ見上げていた。

「お前は今から姫代珈・セレスティニーア・マルタとしての最後の役目を全うしてもらう。
この前のことから沢山の人々が私たちに不信感を抱いてしまっている。そこで、だ。
実はあの時助かっていて、ひっそり暮らしてましたぁってことにするんだよ。
だから、失敗作として罪を償え、お前はもう零麗じゃない。」

というと同時に、頭に機械が被せられた。
それはレーヴァテイルを破壊するための機械と言ってもいいだろう。
様々な電波信号を送り強制的に塔の範囲外に出たように錯覚させる機械だった。
零麗は死ぬのだとわかると今までの様々な感情が沸き戻ってきた。
姉と過ごした楽しかった日々、詠唱者に選ばれた喜び、本来の目的を聞いてしまった時の不安と焦り、
それでも笑う姉の眩しい笑顔、姉が目の前で消えた時の絶望、あの時止めていればという後悔。

そして

姉の死をなかったことにして平然として彼女に濡れ衣を着せる研究者達。
何も知らずに姉は生きていたと信じ彼女に罵声を浴びせる人々への怒り。

意識が混濁する中、彼女はこんな風に謳い始めたそう



ひとのいのちもやして せかいはつくられる
ひとあえばやさしき  こころにつつまれて

hLYAmLYImOrN sos sphaela/.
hLYImYImOrN  sos qejyu/.

みかづきがのぼるころ そらまうとりおちた
よるのしじまながるる とてもしずかなよるよ

hOmOmIrA sos sphaela/.
hLYNmYImIrN sos qejyu/.



あの時から口を開くことすらなかった彼女が謳いだした。
ただ、何かがおかしい。
その場にいる人々が静かになったと思えば
「私は何のためにここに来たんだ?」
「私の名前ってなんだっけ...」
「ここはどこ?」
と次々におかしなことを言いだした。

この詩は、【インスタンスドミネーション】
効能キーは【0】効果は【白紙】
簡単に話せば、
【そこにはもともと何もなかったし、なにもされてなかった】
というすべて白紙に戻す詩であった。本来ならその詩の効果も詠唱者にいきレーヴァテイルとしての
全ての使命を忘れ消えてしまうのだが、彼女の場合すでに機械が着けられていたため、
効果を受ける前に姿を消した。
その場にいた人々は散り散りになって行方をくらまし、その後ほとんどが帰らぬ人となったそう。



結局この計画はなかったこととなり、2人のレーヴァテイルと
レーヴァテイルを操っていた研究者達と
メタファリカを異常信仰する人たちが犠牲となった。
​これほど大規模な事件が知られていなかったのは、その【インスタンスドミネーション】の
詩によってなのだろう。また、古い資料であったため、おかしな箇所が多々あったが
これ以上細部の分析は非常に困難ということが判明。
詩の復元は完全に出来ると報告があったため、今後それに期待しよう。
そして、現代で言う【新約パスタリエ】に酷似した単語が使われていたが、
なぜ謳えていたのかは未だ不明のままである。
詩の細部まで監視する能力と元々の能力で塔に不正アクセスをしていた説。
元々編み出せるように零麗が作られた説。
周りに悟られぬよう長けた能力で自ら編み出した説。
すでにその時【インフェル・ピラ】に似たなにかがあった説。
この4つが有力だが真実はわからない。

ただわかることは、悲惨な過去を忘れてはいけないということ。

私たちはそれを心に決めて進んでいかなければならないのだと思う。

また別途ページに二人のメタファリカの詩のストーリーが載せてある。
少年と少女という表記から【ラプランカ伝承】に近いものと分かった。
​ただ内容が酷なので読むときは覚悟してほしい。
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